文科省科学技術・学術政策研究所は、米調査会社クラリベイト・アナリティクスのデータを基に主要国の論文数などを分析しています。自然科学分野での中国の2017年(16~18年の平均)の論文数は30万5,927本で、米国の28万1,487本を上回り1位となっています。3位はドイツで6万7,041本、日本は6万4,874本で前年と同じ4位でした。米中2強時代は鮮明です。
中国は論文の質でも米国に迫っています。優れた論文は、引用数の多さで評価されます。被引用数が上位10%の注目論文のシェアをみると、2017年の1位は米国の24.7%、中国は2位で22.0%です。さらに注目度が高い上位1%の論文では、米国は29.3%、中国は21.9%となっています。日本は退潮傾向です。論文数は20年前には世界2位でしたが、2017年は4位です。注目論文は20年前の4位から2017年には9位に低下しています。
米中の得意分野は分かれています。中国は、材料科学、化学、工学、計算機・数学で高いシェアを誇っています。米国は、臨床医学、基礎生命科学が高くなっています。中国の躍進を支えたのは、積極的な研究開発投資や研究者の増加です。
(2020年8月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)