乳がんの予防切除に対する考え方

乳がんは女性のがんで最も多く、国内で年間推計約8万人が新たに診断されています。女性は一生涯で11人に1人が乳がんになるとされています。このうち5~10%が遺伝性とされています。遺伝性の乳がんは、血液の検査によってBRCA1、2という特定の遺伝子に変異があることで確認できます。変異がある女性の40~90%が生涯で乳がんになるという報告もあります。
日本乳癌学会は、遺伝性の乳がんについて、将来がんになるリスクを減らすため、反対側のがんのない乳房を予防的に切除する手術を強く推奨すると学会の診療指針を改定しました。また、両方の乳房の予防切除については、弱く推奨するとしています。患者が希望し、カウンセリング体制が整っていることなどが条件となります。ただし遺伝子に変異があるかを調べる検査や予防切除手術は、保険適用外で自費審査です。患者の経済的負担は大きく、がんのない乳房を切除すべきかの判断は難しいものがあります。

(2018年5月17日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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