乳がんは乳腺にできる悪性腫瘍で、女性がかかるがんの中で最も発症頻度の高いがんです。国内で年間約8万人が罹患し、毎年、1万人以上が亡くなっています。早期発見し、適切な治療を受ければ、約9割の人が治るといわれています。女性ホルモン(エストロゲン)が深く関わっているとされ、飲酒や喫煙でもリスクが高まることが確認されています。国内の40歳~69歳の乳がん検診の受診率は30%前後であり、50~80%台の欧米に比べると低い状況です。しかし最近では、著名人の乳がん公表を機に、医療機関などに乳がん検診の予約や問い合わせが急増しています。
受診すると、マンモグラフティ-を検査することになります。乳房を押しつぶしてレントゲン撮影をするマンモグラフティ-(乳房エックス線撮影検査)は、乳腺とがん組織が共に白っぽく映るためがんと疑わしいとの診断が出る確率が高くなります。40代でも1割の患者が確定診断のための精密検査に回ります。乳腺が発達している30代ではさらに多くなります。精密検査はコンピュ-タ-断層撮影装置(CT)を使うため、被曝線量はマンモグラフィ-の数十倍になります。40歳未満の女性には日常的な自己触診によるしこりの有無などの確認が勧められています。
(2015年11月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)