乳がん検診は、マンモグラフィー(乳房エックス線撮影検査)で検査されます。ごく早期の乳がんやしこりになる前の石灰化の状態を発見できますが、高濃度乳房と呼ばれるタイプの人は、この検査でがんを見つけにくくなっています。乳房は母乳を作る乳腺と脂肪などで構成されています。マンモグラフィーの画像には、X線が透過しづらい乳腺が白く、透過しやすい脂肪は黒く写ります。がんも白く写るため、乳腺が多い乳房だとがんを見つけるのが難しくなります。
乳房は乳腺濃度に応じて4タイプに分かれます。乳腺が多く脂肪がほとんどない極めて高濃度、乳腺の中に脂肪が混在する不均一高濃度、脂肪の中に乳腺がまばらに存在する乳腺散在、そして脂肪がほとんどを占める脂肪性です。このうち極めて高濃度と不均一高濃度の2タイプが高濃度乳房です。高濃度乳房は病気ではなく体質です。海外は乳がんになるリスクがやや高いとの報告がありますが、日本では証明されていません。欧米人に比べて脂肪が少ない日本人女性は、高濃度乳房の人が多くなっています。その割合は4~8割と報告により幅があります。
高濃度乳房だと、マンモグラフィーの結果が異状なしでもがんを見逃している可能性があります。そのため、超音波(エコー)検査の併用が推奨されています。マンモグラフィーとエコーを併用すると、マンモグラフィー単独の時よりも乳がんが見つかりやすいという結果が出ています。エコー検査は自己負担になりますが、高濃度乳房の人は是非併用すべきです。医療機関にもよりますが、検査代は5千~1万円程度が目安です。
(2017年9月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)