乳児血管腫の新薬

 生後間もない赤ちゃんの体にできる乳児血管腫(いちご状血管腫)の治療に効果的な薬が登場しました。従来、心臓病の治療に使われていた薬であるプロプラノロールが、海外で乳児血管腫に効くことがわかり、国内でも保険適用されています。乳児血管腫は、毛細血管が異常に増えてできる良性腫瘍で、体表面だけではなく内臓にもできます。女児に多く、生後1カ月~半年ごろに、痣が急速に広がる増殖期に入り、1歳ごろにピークになります。その後少しずつ小さくなる退縮期を経て、67歳で最小になります。レーザーやドライアイスを当てて小さくしたり、赤みを改善したりするのが従来の治療でした。
 プロプラノロールは、狭心症や不整脈の治療に使われてきた薬です。2008年、乳児血管腫でも高い効果があるとの論文がフランスで報告され、その後欧州や米国で相次ぎ承認されました。投与開始の数日後から、あざは徐々に柔らかくなって出血も止まり、盛り上がりも低くなり、色も薄くなります。早めに薬を服用すれば、より早く血管腫を小さくすることが期待できます。未承認薬・適応外薬検討会議に、医療上の必要性の高い薬の早期開発を求めることができるようになっています。

(2017年9月13日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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