日本がん・生殖医療学会より、2021年度版の乳がん患者の妊娠・出産と生殖医療に関する診療ガイドラインが上梓されました。本ガイドラインは、2014年、2017年に引き続き、最新知見を踏まえて改訂されました。今回の改訂では、乳がん治療医、生殖医療医だけではなく、看護師、薬剤師、患者、倫理の専門家など多様なメンバーが参加され、それら多くの意見や考え方が取り入れられています。
本年4月より、小児・AYA世代がん患者等に対する妊孕性温存療法に係る国の経済的支援が開始しています。本ガイドラインが、治療のエビデンスレベルの把握のみならず、当事者同志の真摯で前向きな議論のため、難しい意思決定に迫られる患者に寄り添うための診療ガイドラインになることが期待されます。
(吉村 やすのり)