支援策の問題点②
今年の4月時点で全国の待機児童は約2万6千人もいます。もともと政府は2017年度末に待機児童ゼロを達成する目標を立てていましたが、2020年度末に32万人分を用意するとしています。無償化より待機児童解消が先決だとの批判もあります。無料なら預けたいという人が増え、待機児童問題がさらに深刻化するかもしれません。
無償化の対象に認可外の保育施設を対象外にする方針でしたが、子どもを認可保育園に入れられなかった保護者らが一斉に反発したといったことがみられ、方針を転換しました。無償化は、認可施設では全員を費用ゼロとする一方、認可外の施設や利用料が高額な幼稚園では助成に限度を設け、一定の負担を残すことになります。そうなれば、認可施設の希望者は今の想定以上に増える可能性があります。保育士への手立ても考えなければなりません。今回、月3千円相当の賃金引上げの方針を盛り込みましたが、無償化に多額の財源を投じるのと比べて大きく見劣りするとの意見もあります。
(2017年12月9日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)