日本の総人口の1億人割れが現実味を帯びるなか、国立社会保障・人口問題研究所が2023年に公表した地域別の将来人口推計によれば、3割の市区町村が10年前の推計値を上回っています。出産・育児支援や企業誘致などで実績をあげる自治体が、予想を覆す健闘を見せています。しかし、東北地方などでは人口減が推計を超えて加速するケースも目立っています。
2023年公表の2040年時点の日本全体の推計人口は、1億1,280万人と2020年実績に比べて11%減りますが、外国人の増加などもあって10年前の推計値より5%増えています。地域別の2020年時点の推計人口を10年前と比べると、663市区町村、30都道府県が上振れしています。人口流入が続く東京都が17.9%増えるなど、首都圏の自治体の推計値超えが目立っています。
地方再生は、偏に人口減対策にかかっています。流入入口を増やすことと出生率の確保です。自治体によっては様々な育児支援、18歳までの医療費のほか、入園費や通園費、給食費や保育料も無料化などにより、人口が上振れしている自治体もあります。2070年の日本の人口は、現在の7割の8,700万人にまで減ります。しかし、若い世代の地方への関心は以前よりも高くなっています。自治体が教育や雇用などを切磋琢磨しながら充実させて地域に人が分散すれば、多様なアイディアが生まれて社会全体の活力も高まります。
(2024年1月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)