少子化の進行が止まりません。2025年の出生数は66万8千人程度になる見通しです。政府は年3.6兆円の少子化対策を進める一方、人口減に社会をどう対応させるかの議論も必要になります。
人口を維持するには、合計特殊出生率で2.07が求められます。しかし、2024年の出生率は1.15で、国立社会保障・人口問題研究所の将来の中位推計では、人口が1億人を割り込むとみられる2056年には出生数は51万3千人になるとみています。
2023年に岸田政権は、若年人口が急減する2030年代に入るまでが少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスと位置づけ、異次元の少子化対策に着手しました。児童手当の所得制限撤廃や、親が働いていなくても保育所などに通えるこども誰でも通園制度などを段階的に進め、年3.6兆円規模を投入しています。しかし、今のところ出生数の減少傾向に歯止めはかかっていません。
今後は、人口減を前提とした取り組みであるワイズシュリンクが必要になります。OECDも賢明で持続可能な縮小と題したリポートを発表しています。人口減に即した公共サービスや住宅の政策提言を盛り込んでいます。外国人労働者の受け入れや、地方自治体の効率化を図り、人口の縮小に備えるべきです。

(2025年12月24日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)





