医師が過疎地から相次いで去り、地域の人口減少に拍車をかけているとの指摘が出ています。人口と医療機関との間には密接な関係があります。過疎化が進むと、産科と小児科は患者が減るために存続できなくなります。地域にある病院の閉鎖が相次ぐと、子育て家庭にとってはさらに住みにくくなってしまいます。高齢者も今後、医療機関が比較的多い都市部に流出することになります。人口減少が急速に進むと、今ある病院でも高度な医療機器や専門医を地方に置くことは困難になります。
現時点で医師不足に苦しむ自治体ほど、将来人口が大幅に減ると推定されています。図は、現在の医療ニーズに対する医師数の多寡と、2015年から2040年までの推計人口のデータを活用し、自治体を分類したものです。医師が足りている自治体では、将来の人口減少の割合は少ないのですが、医師が不足する自治体では人口減少が深刻化すると予測されています。患者がいないから、医師が去ります。医師不足が原因で、住民の足もさらに遠のくことになります。地域医療は悪循環に陥っています。
(2019年7月17日 毎日新聞)
(吉村 やすのり)