労働人口減少下での経済成長
少子高齢化の進行に伴う労働力人口の減少は経済成長の足枷となります。労働投入量の減少を抑えつつ、生産性を引き上げ、投資を促す仕組みづくりが必要となります。第1の柱は経済の新陳代謝を上げ、生産性を高めることです。労働市場の流動性を高めることがカギとなります。
第2の柱は、投資促進による資本の増強です。労働供給制約下では、AIやロボットなど省力化投資を積極的に進めるべきです。第3の柱は、潜在労働力の活用です。人口減少下では労働力の増加は見込めないものの、減少を緩和し、既存の潜在労働力を生かすことは可能です。カギとなるのが高齢者です。
労働時間のあり方も見直す必要があります。一律に労働時間を制限することが全ての人にとって望ましいとは限りません。もっと働きたいのに働けない人や、副業・兼業の機会を広げたい人も多く、人々の多様な生活や働き方に対応できるよう、労働時間制度は柔軟性と選択肢を重視したものに転換すべきです。

(2025年7月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)