働き手世代の減少
わが国は、世界でも類を見ない高齢国家への道を歩んでいます。5年前の推計より少子高齢化のペースは緩和すると思われますが、主要な働き手である生産年齢人口が大幅に減る基調は変わりません。15~64歳の生産年齢人口は2065年に2015年比で4割減ります。2040年時点でも5,978万人と今より2割以上減る見通しです。生産年齢人口に対し、14歳以下を年少人口、65歳以上を老人人口と呼びます。生産年齢人口の減少は、経済活動の担い手が減り、経済の活力が失われ、社会保障の支え手も先細ります。
現状のペースで人口が減り、生産性も改善しない場合、2040年代以降はマイナス成長が定着します。逆に2040年代以降の実質経済成長率を1.5~2%に保つためには、1億人の人口を維持し、生産性を世界トップレベルに引き上げなければなりません。即効性のある処方箋は、女性が働いて家計の経済力を維持しながら、子育てできる環境を急ぎ整える必要があります。共働き世帯が増えれば、出生率が上昇し、働き手も拡大する可能性が高まります。高齢者の就労を増やす定年引上げや、配偶者控除の見直しによる働く主婦層の増加などの政策も必要になります。
(2017年4月11日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)