哺乳動物は、食料の不足する寒い時期をしのぐため冬眠し、省エネ状態を保ち、栄養が乏しい環境を生き抜きます。代謝や体温が低下する休眠が長く続くのが冬眠で、数カ月に及ぶこともあります。しかし、そのメカニズムはよく分かっていませんでした。
筑波大学と理化学研究所の研究チームは、本来は冬眠しないマウスやラットの脳にある休眠誘導神経(Q神経)と名付けた細胞を刺激して、冬眠に近い状態を作り出すこと成功しました。
Q神経は、体温調整や睡眠などをつかさどる脳の視床下部にあります。Q神経は人間にも存在する可能性が高く、将来的に実用化されれば、延命措置や臓器保存といった医療、有人宇宙探査への応用も期待できます。
(2020年6月12日 中日新聞)
(吉村 やすのり)