会計検査院の調査によれば、腎機能が低下した患者が受ける人工透析の費用の一部を公費負担する自立支援医療費を対象の153市町村のうち約7割に当たる13府県の111市町村が、2023年度に計1億9,527万円を過大支給していました。市町村の審査が不十分で、本来は医療保険から支払うべき分も公費で負担していました。
人工透析医療費に関しては、多額の費用がかかる患者負担額を軽減するため、公費による自立支援医療制度と、医療保険による特定疾病制度があります。両制度の認定を受けた患者は併用が可能で、その場合はまず特定疾病に基づき、自己負担の限度額を超えた分が医療保険から支払われ、さらに自己負担額の一部が自立支援医療費から支給されます。
しかし、実際には併用の患者でも、医療機関で自立支援医療費の受給者証のみ提示し、特定疾患の適用を受けていないケースがあります。市町村は、医療機関から診療報酬請求があった際などに、こうした点についての確認を怠っていました。

(2025年15日 東京新聞)
(吉村 やすのり)