人生100年時代を迎えて

50年前は人生70年時代でしたが、今や人生100年時代と言われています。日本老年学会と日本老年医学会は、2017年1月に75歳以上を高齢者、90歳以上を超高齢者とすべきだと提言しました。2065年の75歳以上の総人口比は25.5%となり、現在の65歳以上の28.1%より低くなります。自分の障害にかかる経費は、自分または世帯で稼がねばなりません。人生100年となると、その分生涯経費が増え追加的な働きが必要になってきます。経験豊かな75歳までの労働力の積極的活用を官民ともに工夫して、人生100年時代にふさわしい働き方を実現する必要があります。働くことは本人の生きがいや健康保持だけでなく、年金の給付水準や制度の安定につながります。
近年、日本の合計特殊出生率は1.4にとどまっています。このまま推移すると、100年後の人口は5千万人程度になると推計されています。少子化対策は国難への対応ともいうべき最重要課題です。少子化の対策案は数多く出されていますが、一向に成果が上がっていません。少子化対策の目標は、子育てを支える温かな社会を作り出すことにあります。各府省の施策を強力に推進し、企業や社会のマインドを一新していく必要があります。しかし、社会全体の少子化に対する危機感は全くないといってもよい状況です。少子化を担当する大臣が官民に対して強いリーダーシップを発揮し、子育て支援のための主要政策を直接担当できるよう、関係府省の関係部局を集めて少子化対策庁を新設することも考慮すべきです。

(2019年6月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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