国連開発計画は、2020年版の人間開発報告書を発表しています。国民生活の豊かさを示す人間開発指数(HDI)の世界ランキングでは、日本が19位で、首位は前年に続きノルウェーでした。HDIは、経済的尺度では測れない豊かさを数値化するため、所得や平均余命、就学状況を組み合わせて算出しています。
2位にはアイルランドとスイスが並び、上位には欧州諸国が目立っています。4位に入った香港は、中国による統制強化で自治の後退が懸念されていますが、所得の高さや平均余命の長さが評価されています。ランキングでは、このほか米国が17位、韓国が23位、ロシアが52位、中国が85位です。
報告書は、新型コロナウイルス流行の影響により、今年は世界全体のHDIが、1990年の統計開始以来初めて低下すると推計されています。気候変動を巡っては、最貧国では2100年までに、異常気象に見舞われる日数が1年当たり最大で100日増加する可能性があると指摘されています。温暖化対策の国際枠組みであるパリ協定が、完全に履行されれば、増加日数は半減できるとしています。
(2020年12月30日 岐阜新聞)
(吉村 やすのり)