厚生労働省の発表した人口動態統計(速報)によれば、1~9月に生まれた子どもの数は67万3,800人と前年同期に比べ5.6%も減少しています。2019年は30年ぶりの大幅減となる可能性があります。速報値には日本人に加え、日本生まれの外国人や海外生まれの日本人も含まれます。日本生まれの日本人に限ると、出生数は速報値よりも年間で3万人程度少なくなります。
2018年の日本生まれの日本人は91.8万人で、現在の減少ペースが今後も続くとすると、2019年の出生数は87万~88万人程度になる可能性がでてきています。10年前に比べて20万人程度少ない数字です。1899年の統計開始以来、最少となっています。2019年は当初、平成から令和への改元効果で出生数が増えるとの期待がありました。
生まれる子どもの数が減る大きな要因は、出産適齢期に当たる女性の人口が減っていることです。1971~74年生まれで人口の多い団塊ジュニアは2019年に全員が45歳以上になります。加えて、1人の女性が生涯に生む子どもの数にあたる合計特殊出生率は2018年時点で1.42と、3年連続で低下しています。すでに年間の出生数がゼロという自治体も出始めています。年間出生数が1桁の出生ゼロ予備軍も数十自治体あります。
(2019年11月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)