今後の病院経営

病院の収益の急激な悪化が社会問題になっています。コロナ禍で、4月には全国の病院の3分の2が赤字になっています。今後、病院を取り巻く環境が厳しさを増すのは目に見えています。医療技術の進歩もあって、高齢者が病院にかかる頻度や日数は年々下がってきています。また、人口減少が進めば、患者は確実に少なくなります。コロナによる一時的な影響ほど強烈ではないにせよ、経営が今後ある程度のペースで苦しくなるのは避けられない現実です。
今回のコロナ禍は、医療にも大きな変革をもたらすことになりそうです。特例として初診にも解禁されたオンライン診療は、患者の病院への移動が要らなくなるだけでなく、患者がどこの病院や診療所でも好きに選べる一面があります。長い待ち時間に象徴されるように、医療サービスは、提供する側の論理で決まってしまいましたが、オンライン診療の普及に触発されて主導権が消費者たる患者に移る可能性を秘めています。医師や病院に委ねられてきた診断や診療に関するデータも、今後益々AIが応用されるようになってくると思われます。医療におけるAIの市場規模は大きなものがあります。病院を取りまく環境はこれからも大きな変化が押し寄せてきます。変化に追いつく努力をしない病院や診療所は無くなってしまう時代が、すぐそこに来ています。

 

(2020年6月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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