今年の春はスギやヒノキの花粉が多く飛散すると予想されます。東京都内は観測史上最も早い飛散を確認し、2024年夏の暑さによって西日本は過去10年で最多の飛散量となる可能性もあります。都道府県別に2024年春との飛散量を比べると、最も増えるのは香川県の前年比8.5倍、次いで広島県の6.9倍、徳島県の6.6倍です。
花粉を出す雄花の形成が始まる6~8月の日照時間が長く高温が続くと、花粉の発生源である雄花がつきやすく、飛散量が増えやすいとされています。花粉が多く飛んだ表年の翌年は、飛散量が減る裏年になりやすいとされています。裏年にあたる地域でも、昨夏に猛暑や残暑が長引ひた影響で平年並みかそれ以上の雄花がついています。気候変動の影響で今後も飛散量はメリハリのない状態が続いています。
国は、2023年に花粉の発生量を2053年度までに半減させる方針を掲げています。林野庁は、例年1億円程度だった花粉対策予算を2023年度に補正予算も含めて約61億円としています。対策の柱に据えるのが、発生源であるスギ人工林の伐採と花粉の少ない品種への植え替えです。林野庁によれば、スギの人工林は2022年時点で約441万haに上り、人工林全体の約4割を占めています。
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(2025年2月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)