介護や育児を理由に、非正規の仕事を選ぶ人が増えています。景気が回復し、正社員になれずにやむなく非正規に就く人は減少していますが、女性が育児や介護を仕事と両立するために、時間が自由な非正規の仕事を選ぶ傾向は強まっています。総務省がまとめた2018年10~12月期の労働力調査によれば、家事や育児、介護のために非正規の働き方を選んだ人は267万人であり、2013年1~3月期の調査開始時に比べて48%増えています。
内訳を見ると、267万人のうち女性は259万人で、男性は7万人にすぎません。女性は、正規の仕事がないことを理由に非正規となった人は123万人で、いわゆる家庭の事情から非正規を選ばざるを得ない人が多いことが分かります。共働きでも、男性が正規、女性が非正規の形が続く要因の一つは、日本では家事の負担が女性に偏っていることにあります。
(2019年3月2日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)