介護人材の確保

2040年には、3人に1人が高齢者になります。介護保険制度の創設から20年以上が経過しました。それまで主に家族が担っていた介護が公的に支えられるようになり、女性の社会進出を後押しする効果もありました。しかし、介護人材不足は深刻です。厚生労働省は外国人人材の受け入れや処遇の改善を進めていますが、2025年度には全国で約34万人の介護職員が不足する見通しです。

課題は山積です。一つが人手不足の問題です。1月の介護サービス従事者の有効求人倍率は3.87倍で、1.04倍の全職業のおよそ4倍と担い手の確保に苦しむ状況が続いています。待遇面で他の産業に見劣りすることや、ITの活用遅れ、労働の負荷が高いことが介護の現場から働き手を遠ざけています。
高校や大学で福祉系の学校を選択する学生は一定数いるのですが、卒業後、介護を志す学生が少ないことも問題です。介護職の待遇の悪さが要因です。少子高齢化が加速しており、職員が働きやすい環境を整えなければ、現場はさらに厳しくなる悪循環に陥ります。本格的な高齢化社会の到来です。誰もが高齢者になるのです。自分には何ができ何をすべきかを考えなくてはなりません。

(2021年3月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。