少子化でわが国の年間の出生数は100万人割れが目前です。一方で高齢者の数は激増しており、65歳以上の割合は26.7%と過去最高を記録しています。介護需要が増すなか、保育需要は2017年にピ-クを迎えると考えられています。そんな中注目されているのが、高齢者と子どもが一つの屋根の下で介護と保育を受ける介保の連携施設です。将来、需要に応じて施設を転用できる可能性があり、保育の受け皿として期待されています。
介護と保育の連携施設が増えるためには、多くの課題があります。両方の施設に必要な規模の物件を探すことが難しいのに加え、保育と介護の行政がまったく別に動いているため、申請の手続きが難しくなります。しかし、労働力人口が減るなか、保育士や介護職員に人手不足解消につながるうえ、両方の分野で資格をもつ人材が配置できれば、コストを大幅に増やさずにサ-ビス向上が可能になります。子どもとの交流が高齢者に効果的なのは明らかです。保育現場では子どもを見守る目が増えるメリットもあります。
(2015年11月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)