介護保険制度の見直し

介護保険制度は、介護ニーズに対応することを目的に2000年に創設されました。保険料は40~64歳が現役世代として納付し、会社員分は保険料の半額を事業主が負担しています。65歳以上は高齢者として介護保険料を納めつつ、要介護認定を受ければ介護サービスを受けることができます。
年齢の線引きを改めて議論する背景には、介護給付費の膨張があります。2018年度の介護保険の総費用は、11兆円1000億円と制度ができた2000年度の3倍以上になってしまいました。保険料の増加も止まりません。大企業の40~64歳が払う保険料の平均は、2019年度に年10万円と過去10年で4割以上増加しています。65歳以上は年7万円とこちらも4割増加しています。
政府は企業に70歳まで就業機会を提供するよう求める法改正を目指しており、年金分野では高齢者の就労を後押しするため、70歳まで働くことを念頭に置いた制度改革の議論が進んでいます。仮に介護サービスを受けられる年齢を70歳以上などに上げれば、その分介護保険からの給付額は抑えることができ、財源である介護保険料の抑制にもつながります。

(2019年10月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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