介護福祉士資格の取得

介護福祉士養成学校の卒業生が国家試験に合格しなくても、暫定的な資格を得られる特例が、5年間延長されます。外国人留学生が急増する中、特例の打ち切りが、介護現場の人手不足を悪化さえかねないとの声に厚生労働省が応える形です。厚生労働省が指定した専門学校など養成校の卒業生には、2016年の法改正で国家試験の合格が義務付けられました。卒業生は、もともと試験無しで資格を取得できたことから、経過措置として、合格しなくても、介護現場で働き続けることなどを条件に暫定的な資格を得られる特例も導入されました。
今回、2021年度までの特例が2026年度まで延長されるとなった背景には、外国人留学生の急増があります。2017年から在留資格に介護が加わり、介護福祉士の資格を取れば、日本で永続的に就労できるようになりました。資格を目指す留学生の増加につながり、養成校に入学した留学生は、2019年度過去最多の2,000人超で、全体の約3割を占めています。
日本人は約9割が合格するのに対し、日本語での試験が不利な留学生は3割未満にとどまっています。介護現場で働く意思があり、養成校で実技を学んだ留学生が卒業時の不合格で帰国してしまうと、せっかくの介護人材を確保するチャンスを逃すことになってしまいます。厚生労働省の試算では、団塊の世代が全員75歳以上になる2025年に、介護人材が約34万人不足するとされています。留学生への期待は大きく、留学生が試験に合格できるよう、教育支援も充実させていくべきです。

 

(2020年3月4日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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