介護職員の想い

 最近、介護の現場で高齢者の虐待が問題となっています。介護職員の不足から、経験の乏しい介護職員が重度や認知症の人などと向き合わざるを得ない中で、追い詰められ、ストレスがたまり、どうしていいかわからなくなってしまう環境があります。介護現場では、労働時間の上限が守られていないことも問題視されています。労働基準法による法定労働時間の上限は週40時間ですが、シフトが厳しく、上限を超えるケースが多くみられています。新人を1人で勤務につかせることができないことや、急な病欠で代わりに出勤した職員が代休を取りづらい事情も背景にあります。
 少人数体制の夜勤で仮眠がとれなかったり、夜勤と日勤を繰り返したりして生活リズムが崩れ、うつ病など精神的トラブルを抱える職員も少なくありません。職員の処遇改善のほか、現場の負担を軽減できるような人員配置基準の見直しが必要です。介護事業の経営者や管理者の8割が、職員が虐待するかもしれないとの懸念を抱いているというのも心配です。虐待は絶対にあってはならないことですが、起こるかもしれないと思って対処することが大切です。

(2016年3月2日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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