税金や介護保険料を原資にした介護費用の膨張が止まりません。約20年で医療費は6割増、年金は5割増だったのに対し、介護は4倍に急増しています。少子高齢化で介護費はさらに膨らむ見通しです。65歳以上の高齢者について、給与や年金などの年間所得水準が高い人たちの介護保険料が引き上げられます。2024年度の制度改正での実現を目指します。
税金や保険料による社会保障給付費ベースの介護費用は、2000年度の3.3兆円から、2023年度予算のベースで13.5兆円と4倍ほどに急増しています。元々数十兆円規模の医療、年金より分母が小さかったとは言え、医療は2000~2023年で6割増、年金は5割増でした。介護の伸びは突出しています。
厚生労働省は制度を維持するため、所得が高い高齢者の保険料の引き上げを図ります。高齢者の介護保険料は、所得に応じて基準保険料額に対する倍率が変わります。国が所得別に示す9段階の基準を参考に、市町村が独自に所得段階や倍率を設定できます。国基準では、合計所得320万円以上で基準額の1.7倍が最高段階となります。
(2023年11月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)