育児・介護休業法改正で、4月から介護離職を防ぐ環境整備などが企業に義務づけられました。東京商工リサーチのアンケート調査によれば、介護離職者が出た企業のうち、介護休業・休暇の制度利用がなしとの回答が大企業で38.8%、中小企業で56.3%を占めていました。介護休業・休暇制度の利用状況では、大企業と中小企業で大きな差が出ています。2024年度中に介護休業が発生したと回答した割合は、大企業13.7%に対し、中小企業3.6%にとどまっています。
介護休業は、要介護状態にある家族の介護のために休業できる制度です。家族1人につき93日とされ、3回まで分割できます。休業中は一定の条件を満たせば、給与の67%を給付金として受け取れます。介護休暇は年間に5日取得できます。原則は無給ですが、会社によって制度が異なる場合があります。
中小企業の半数近く大企業の7割超が、介護休業・休暇の利用をマニュアルなどで明文化していると答えていますが、十分に利用されていません。仕事と介護の両立支援について、十分だと思わないと答えた企業は全体の4割弱を占めています。十分でない理由としては、代替要員を確保しにくいが62.6%で最も多く、自社に前例が少ないが49.5%、制度が社員に浸透していないが25.5%と続いています。
育休に比べ、介護に関する情報の周知の遅れが際立っています。特に中小企業の意識改革は進んでいません。経済産業省の試算では、2030年には家族を介護する人は833万人まで増え、経済損失額は約9.2兆円に上るとされています。
(2025年4月20日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)