コンサルティング会社デロイトの調査によれば、世界の大企業1万社の取締役のうち女性の割合は、2018年の16.9%から2021年の19.7%と微増にとどまっています。変化のスピードがこのままだったら、男女平等は2045年まで達成できないと指摘されています。依然として欧米企業では取締役の多くを白人男性が占め、日本企業でも大半が男性のままです。
国や地域による差も大きくなっています。女性取締役の割合はフランスが43.2%、ノルウェーが42.4%など欧州で高く、欧州全体では30.7%です。一方、中国が13.1%、日本が8.2%、韓国が4.3%などアジアは低く、アジア全体だと11.7%にとどまっています。
米ISS ESGによれば、米国の主要企業の取締役のうち、白人以外が占める割合は2018年の17.01%から2022年に20.47%と、わずかな増加にとどまっています。黒人の割合が3.9%から7.3%に増えたことが変化の大半で、アジア系やヒスパニック系などはわずかに増えただけです。人種の多様化もなかなか進んでいません。
取締役会にジェンダーの多様性がない、人種や民族の多様性がないなど、多様性への取り組みが見られない場合、長期的な株主利益の低下を懸念するなどの動きもありますが、経営陣の多様化は遅れています。
(2022年3月13日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)