日本の企業は、今でも男性偏重の状況にあります。内閣府の2025年版男女共同参画白書によれば、管理的職業に携わる女性割合は日本は16.3%にとどまっています。海外では30%以上の国が多いのに対し、日本の低さが目立っています。大手では女性登用に積極的に取り組む企業も増え、政府も政策面で後押ししてきました。それでも全体で見れば水準は低い状態が続いています。

スイスの非営利財団世界経済フォーラムが6月に発表したジェンダーギャップ指数では、日本は148カ国中118位です。ジェンダー平等の4分野のうち政治参画は125位、経済参画は112位でした。
背景としては、性的な役割分業に関するアンコンシャスバイアスが考えられます。女性の管理職の割合が伸びない根底に男性の意識があり、アンコンシャスバイアスの相当部分が育児、家事に対する男性の意識であり、その払拭が不可欠です。企業は出産・育児・介護との両立を支援し、女性の計画的なキャリアを形成することが大切です。管理職、役員候補を計画的に育成するタレント・パイプラインを強化していくことに尽きます。
日本で女性登用が遅れているは、出産、育児によるキャリアの中断や、長時間労働が評価されがちな企業風土、一般職に象徴されるコース別人事制度など複合的な要因も関係しています。それにより、同じ学歴、勤続年数の男女で昇進に差が生じています。

(2025年7月26日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)