企業による採用活動の早期化

 政府は、2023年に一定の条件下でインターンシップの評価を本選考で活用できる採用直結型を認めてきました。インターンが採用の実質的な主戦場になりつつあることも、採用の早期化につながっています。大学の学長アンケートによれば、採用活動の早期化について聞いたところ、望ましくないは532校のうち392校の74%に上り、望ましいの5%を大きく上回っています。分からないは20%でした。望ましくないと回答した大学の多くが、学業への影響を懸念しています。自身の専門を深める前に就職活動を始めることになるとの指摘もあります。

 早期化によるミスマッチが起きる可能性があるとの意見もあります。自分自身や業界・企業をよく理解しないまま就職を決めることで、ミスマッチからすぐに辞めてしまう動きが増える可能性が出てきます。専門的な知識や興味が定まる前に進路を選ぶと、適性との不一致が起こる可能性があるとの声もみられます。

 望ましいと答えた大学からは、就活が早期に終わることでその後の学業に集中できるとの意見もあります。進路が早く決定することで4年次生が落ち着いて卒業研究や国家試験等の準備ができるとも考えられます。しかし、採用活動の早期化は、留学や課外活動などインターンシップへの参加を優先させる傾向を助長しており、学生の成長機会を奪うことにつながりかねません。

(2025年12月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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