財務省の法人企業統計調査によれば、企業の内部留保は2024年度末時点で636兆円と過去最高を更新しています。利益などのうち人件費に回る割合を示す労働分配率は、2024年度に53.9%と前年度より0.7ポイント下がっています。一方、資本金1,000万~1億円未満の企業に限ると70.2%に達しており前年度から0.1ポイント上昇しています。小規模な企業ほど賃上げの余裕がないと言えます。
賃上げ余力は企業規模によって濃淡があります。政府も6月に閣議決定した経済財政運営と改革の基本指針(骨太の方針)では、1%程度の実質賃金上昇を定着させるとしています。カギとなるのはコスト上昇分を販売価格に転嫁できるかによっています。転嫁できていない企業ほど賃上げ率が低い傾向があります。
連合は、2026年の春闘の目標賃上げ率を前年と同じ5%以上にすると発表しています。春闘の結果は、国家公務員の給与水準を示す人事院勧告や最低賃金を決める際の参考となり、労働組合がない企業の賃金にも影響を及ぼします。
(2025年10月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)
 
								






