企業子宝率とは、合計特殊出生率の企業版ともいえる指標で、男女問わず従業員一人当たりが在勤中に持てる子どもの数を算出した値です。ダイバ-シティ・コンサルタントで東レ経営研究所ダイバ-シティ&ワ-クライフバランス研究部長の渥美由喜氏が考案したものです。少子化問題を考える際、多くの場合は合計特殊出生率を参考にします。しかしこれは、女性1人が生涯に産む子どもの数であり、女性にしか注目していません。一方、企業子宝率は男女双方を算出対象にしています。男性を含めることで、片働き・共働きに関わらず、子育ては男女共に責任を果たすべきだというメッセ-ジが込められています。
企業子宝率で分かることは、その企業が子育てしながら働き続けられる企業か否かです。すでに福井県や静岡県、佐賀県、鳥取県、三重県、山梨県、滋賀県大津市は、これを地元企業のワ-クライフバランスをはかる指標として活用し始めています。地方では。若年層の人口減少対策が急務です。そこで、子育てしながら仕事が続けられる会社を発掘することで、魅力ある自治体であることをアピ-ルする狙いがあります。また、子宝率の高い企業を発表することにより、企業の自主的な取組を促すことを目標にしています。
(吉村 やすのり