企業年金は、企業が退職した従業員に支払う年金のことで、国民年金など公的年金とは別に支払われます。福利厚生の1つで、給与の後払いの性格もあります。確定給付型年金や確定拠出型年金といった制度があり、制度の選択や支払額などは企業が決めています。
金利上昇で、企業が将来従業員に支払う企業年金の財政が改善しています。企業が支払いに備えて用意すべき負担額は、2022年度時点で前の年度から約6兆円減りました。減少額は過去10年で最大です。運用環境が好転しており、企業業績の押し上げにつながります。
企業は年金の支払いに向け、必要となる金額を計算しています。2022年度は合計で約65兆円と、前の年度から約5兆9,900億円減っています。最も多かった2015年度と比べると約10兆円減りました。負担額が大幅に減った要因は、金利の上昇です。企業は、国債や優良社債の利回りを基に、将来の負担額を計算しています。
(2023年10月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)