企業業績は上向き、雇用環境は改善しています。2017年11月の完全失業率は2.7%と、1993年11月以来24年ぶりの低水準です。それでも消費者が景気回復の恩恵を感じられないのは、賃上げの鈍さが背景にあります。2016年の名目賃金の前年比伸び率は0.5%で、約20年前の1.6%を大きく下回っています。賃金の伸び悩みは、日本のみならず欧米でも起こっています。
日本を含め、先進国では雇用環境が改善しているのに賃金が伸び悩んでいます。働く人がどれだけ効率的に成果を出したかを示す労働生産性の上昇率の鈍化が、大きな要因とされています。もっとも、従業員が生産性を高める努力をしたとしても、需要が増えなければ対応には限界があります。企業は、利益が出るような新たなビジネスを開拓することが必要になります。有望企業を後押しする成長戦略を着実に進めることが大切です。
(2018年1月25日 読売新聞)
(吉村 やすのり)