低線量被曝によるがんリスク

 低線量の被曝で健康にどんな影響が出るのかいまだ結論はでていません。低線量被曝の評価が難しいのは、喫煙など他の発がん要因のリスクに隠れてしまうほど影響が小さく、統計学的に十分なデ-タを取るのが難しいことによります。 広島と長崎の原爆被爆者の調査から全身被曝者が100ミリシベルト程度を超えると、がんのリスクが高まることがわかっています。千ミリを全身被曝とした場合の白血病以外の固形がん発生リスクは、被曝しない場合の1.5倍になるとされています。
 米国立研究所と英ニュ-カッスツ大などは、2012年に小児科にCT検査を受けた18万人を対象にした研究成果を発表しています。CT検査で骨髄局所に約50ミリシベルト被曝した場合(頭部CT510回分)、5ミリシベルト未満の被曝に比べて白血病になるリスクは、約3倍高いとされています。脳に約60ミリシベルト被曝した場合(頭部CT23回分)も5ミリシベルト未満に比べて、脳腫瘍のリスクが3倍近く高いとされています。こうしたがんのリスクが高まるという報告がある一方、影響は見られないとの研究もあり、結論は出ていません。

(2015年7月16日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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