体外受精の事実婚に関する報道について

 事実婚の夫婦でも体外受精が受けられるとした日本産科婦人科学会の方針が数多くのメディアで取り上げられている。これは結婚していない男女から生まれた婚外子の相続差別を撤廃する改正民法が昨年12月に成立したことを受けた見解の改定案である。しかしながら、国からの不妊治療費助成は、現行では事実婚夫婦には与えられないままである。

 子どもの福祉の観点からすれば、両親が婚姻関係にあるか否かより、子どもが慈しみ育てられることが重要である。この日本産科婦人科学会の体外受精の見解の改定が、社会における事実婚夫婦の認知に少しでも役立てば幸いである。欧米諸国で、事実婚のカップルで体外受精が受けられないような国は存在しない。

(2014年1月7日 朝日新聞)

(吉村 やすのり)

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