保育の質の確保

2019年10月の保育料無償化の開始から半年が経過しました。無償化対象となった子どもは、住民税非課税世帯のみが対象となる0~2歳児を含め、延べ約330万人に達します。今回の無償化では、国の認可外の基準を満たしていない認可外保育所でも、5年間は無償化の対象になります。待機児童のいる地域や通常の保育時間では働けない親子にとっては、認可外保育所が重要な存在です。
2018年には、全国2万3,524カ所の認可保育所で2人、9,666カ所の認可外保育所で6人の子どもが亡くなっています。認可保育所から負傷が892件報告されているのに比べ、認可外保育所の負傷件数が30件と少ないのは、報告が徹底されていない可能性も考えられます。保育の質の確保のためには、まず自治体による指導監査が必要となってきます。
認可保育所には年1回以上、都道府県が監査を実施しています。しかし、2017年度には認可外保育所の69%しか立ち入り調査ができておらず、調査した認可外保育所の中で指導監督基準を満たす施設は55%に過ぎません。市町村と県が連携して認可外保育所を監査し、立ち入り調査の実施率向上が急務となっています。今回の無償化を足掛かりに、行政の認可外保育所への関与が強まった意義はありますが、認可外基準を満たさない施設には基準をクリアさせ、さらに認可への移行支援や研修などにより質の底上げが求められます。

(2020年4月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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