2019年の賃金構造基本統計調査によれば、保育士の平均給与は月額で24万4,500円でした。全産業平均に比べ約9万3,000円、3割近くも低額です。しかも今回のコロナ禍で、保育園の休業に伴い、15.8%の園長・施設長が、パート職員に休業中の賃金を全く支払っていないと回答しています。全国福祉保育労働組合によれば、登園自粛や保育体制の縮小で出勤が不要となり、有給休暇の取得を事実上強要されたケースが、緊急事態宣言下の4~5月に相次いでいます。
医療、介護従事者を対象に最大20万円を支給する国の慰労金で、保育は対象外でした。保育も不安とリスクの最前線なのに、見捨てられています。保育現場の負担やストレスがかつてなく増しており、コロナを機に一層保育士を辞める人が多くなることが危惧されます。
(2020年7月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)