政府の経済対策で、保育士や介護職員らの月収が3%程度、約9,000円引き上げられることになりました。厚生労働省の賃金構造基本統計調査によれば、昨年の平均月給は、保育士が24万5,800円、介護職員が23万9,800円です。いずれも全産業平均より6万円以上低く、約9,000円のアップでは遠く及びません。
国や自治体は、保育士の賃金などに充てるための委託費を私立の認可保育園に支給しています。国は、使途を制限しない弾力運用を認めているため、運営者は園舎の修繕費などに多く充てることも可能です。会計検査院の調査によれば、2016、2017年度支給の委託費のうち、保育士の賃金改善に充てなかった施設が全国に300以上あったとされています。
社会に不可欠な保育士や介護職員らの処遇を改善しようという政府の姿勢は評価できます。しかし、実際に賃金アップに結びついたかどうかはチエックする必要があります。政府は施設の運営者に賃金の情報公開を求めるなど、実効性のある仕組みを作ることが必要です。
(2021年11月22日 読売新聞)
(吉村 やすのり)