保育士不足

 保育士が足りず、子どもの受け入れを制限した結果、定員割れに陥る保育所が相次いでいます。待機児童が問題になり施設を増やす一方で、保育士の処遇改善が進まず、人材が定着しないことが原因です。保育所などの認可施設は、保育ニーズの増加や認可施設の種類の拡大もあって、08年から約5900カ所増え、15年には約29千カ所になっています。保育所で働く保育士も08年から約4万人増えて13年には409千人になっています。しかし、この増え方では保育施設の増加に追いついていけていないのが現状です。
 保育士不足の要因の一つが待遇の悪さです。民間保育所の保育士の給与の平均月額は21万9千円で、全職種の平均月額より約11万円も低くなっています。厚生労働省が、資格を持っているのに保育士としての就業を希望していない人を対象の調査によれば、半数の人が「賃金が希望と合わない」と答えています。安倍首相は、17年度末までの待機児童解消を掲げ、50万人分の児童の受け皿作りを進めています。実現のためには新たに9万人の保育士が必要だとしています。保育にかける日本の予算は、先進諸国と比べて低水準です。財源を確保し、専門性を高めるための人材育成にも力を入れることが必要です。

(2016年3月18日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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