認可保育園の運営経費は、国や都道府県、市区町村の負担金と保護者の保育料で賄われています。国は保護者から徴収できる上限額を定めていますが、それ以下なら市区町村の裁量で決められます。多くの市区町村は独自の助成を実施し、保育料を国基準より低額に抑えています。ただ待機児童解消のため保育関連の公的負担は多くなる一方です。
乳幼児1人にかかる毎月の保育コストは2017年度約10万円であり、2014年度比で約2万円増えています。保育士の待遇改善などで歳出が増えたことによります。しかし、保護者の負担額は平均3.1万円から3.2万円へと1,000円程度増えただけです。総コストに占める負担割合は、38%から31.7%に下がっています。0歳児保育については、1人当たりの総コストが月20.6万円であるのに対し、利用者負担は平均3.6万円に過ぎません。保護者の負担率が極めて低くなっています。その一因は国が定める保育料の上限設定で3歳児未満を一律にしていることによります。
安倍内閣は、保育所を含めた幼児教育無償化を打ち出しています。限られた財源の中で無償化を図るためには、20代の若い世代を対象に第1子の保育料から始めることも効果的です。
(2017年10月3日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)