新型コロナウイルスの感染拡大などを背景に、保育施設の利用申込者数が減少しています。申込者数が減った75自治体のうち41自治体は、その要因として就学前人口が減少したためと、進行が続く少子化を挙げています。2番目に多かった要因が、26自治体が挙げた新型コロナの影響で入所を見送る保護者が増えたことです。
このほか、申込者数が減った要因として14自治体が挙げたのは、在宅ワークの増加など保護者の働き方の変化です。在宅ワークが広がり、自宅で仕事をしながら子どもの世話もできるようになったことで、申し込みを見送ろうと判断した保護者もいるとみられます。しかし、在宅ワークをしながら子どもの世話をして、仕事に集中できないと悩む保護者は多く、新型コロナが終息して、子どもを安心して預けられるように望む声は強いものがあります。
国も、自治体の保育の需要や整備計画を参考にしながら、待機児童対策を進めており、昨年12月、2024年度末までのできるだけ早い時期に待機児童の解消を目指す、新子育て安心プランを公表しています。2021年度からの4年間で、約14万人分の保育の受け皿を整備する計画です。待機児童を解消できそうな時期として、26自治体が2021年度、20自治体が2022年度と回答しています。待機児童をなくそうと保育の受け皿を増やしても、入園する子どもが少なかった場合は空きが出てしまいます。
少子化とともに待機児童数も減少してきています。保育の需要が読みにくくなったなったことで、計画通りに施設を整備するかどうかなどについて、自治体は新型コロナの状況を見ながら慎重な判断を迫られることになります。
(2021年3月26日 読売新聞)
(吉村 やすのり)