インフラ老朽化の波が信号機にも押し寄せています。4基中1基が更新時期の目安を超え、故障が後を絶たず、全国の警察は撤去を含めた対応を急いでいます。警察庁によれば、2024年度は910件発生し、2015年度に比べて約1割増えています。更新基準を製造後概ね19年と規定しており、19年を超えたものは老朽化したと判断し、更新や撤去を検討するよう各都道府県警に指導しています。

全国の20万3,910基のうち、製造後19年を超えたものは5万1,302基です。4基中1基が更新時期を過ぎており、2024年度に障害が見つかった制御機のうち、6割超に当たる578件は老朽化によるものでした。更新費用は1基あたり少なくとも140万円ほどかかり、原則として各都道府県警の予算が充てられます。全てを改修するには単純計算で700億円以上かかり、更新が追いついていないのが実情です。
都道府県別では、信号制御機の老朽化率は奈良が44%で最も高く、神奈川の43%や京都の42%、大阪の41%、新潟の40%が続いています。老朽化率が3割以上の自治体は11道府県にのぼっています。警察庁は、老朽化した信号機は撤去することにしていますが、安全確保策も示す必要があります。

(2025年10月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





