個人型確定拠出年金とは

加入者自らが運用商品を選び、成績によって受け取る年金額が変わる確定拠出年金には、企業が主に掛け金を拠出する企業型と個人が加入する個人型があります。このうち、個人型をiDeCoと呼びます。掛け金の全額が所得税の控除対象となり、運用益は非課税となります。年金という性格上、原則として60歳まで引き出せませんが、老後の資金形成に有利な設計となっています。
20歳以上の人全てが加入する国民年金と会社員が入る厚生年金を公的年金と呼ぶのに対し、個人や企業がお金を積み立てて、老後に備える年金は私的年金と呼びます。iDeCoの加入者の年齢分布をみると、7割弱が20~49歳です。長期運用が前提となっているため、若年の加入者が増えています。確定拠出年金では企業型の普及が先行し、3万社超の企業が導入しています。3月末時点の加入者は対象となる社員の5人に1人にあたる約700万人にのぼっていますが、個人型のイデコの加入者は約120万人にとどまっています。

企業型を導入している会社でも労使の合意があれば、社員がiDeCoを併用できます。iDeCoは運用次第で将来もらえる年金額が変わりますが、掛け金は全額が所得控除の対象になります。現在30歳で年収500万円の会社員が30年にわたって毎月1万円の掛け金を拠出し、年収や税制が変わらないと仮定した場合、所得税の節税効果はおよそ70万円になります。1%強の利回りで運用したのと同じ効果があり、運用益も課税されません。現役世代が受給者に仕送りする公的年金は先細りが避けられません。公的年金だけに頼った生活設計では、老後資金が不足すると考える人は多く、資産形成への関心が高まっています。

(2019年7月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。