健保組合に加入する会社員らは、高齢者の医療費を賄うため、仕送りに当たる多額の拠出金を負担しています。2019年度は3兆4千億円余りを拠出し、保険料収入の約4割を占めています。後期高齢者医療制度が始まる前の2007年度に比べ、約1兆1,200億円増えたことになります。
仕送りの伸びは健保組合の財政を圧迫し、労使で負担する保険料の上昇へと跳ね返ります。健保連によると、2007年度に7.308%だった平均の保険料率は、2019年度は9.218%となっています。1人当たりの保険料は、年38万3,612円から49万5,732円に増えました。
2022年度に健保財政が崖に直面することになります。2022年度には、高齢者への仕送りが4兆円近くに膨らむと思われます。保険料は平均9.8%まで上がり、10%以上の健保組合は、2019年度の302から601に倍増します。保険料率が10%以上の健保組合は、解散予備軍とみなされています。中小企業の従業員らが加入する協会けんぽの保険料率が10%のため、企業が独自に健保組合を存続させる利点が乏しくなります。解散して協会けんぽに移れば、協会けんぽに投入されている税金がその分、増えることになってしまいます。
(2019年4月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)