飲酒に伴うリスクを周知し健康障害を防ぐため、厚生労働省は健康に配慮した飲酒に関するガイドラインを公表しています。酒量より純アルコール量に着目することが重要だとしています。大腸がんは1日当たり約20g以上で、高血圧は少量でもリスクが高まるとしています。飲む際は量を決めるなどの留意点も挙げています。
純アルコール量20gは、ビール中瓶1本や日本酒1合、ウイスキーのダブル1杯に相当します。指針によれば、1日当たりの摂取量として脳梗塞は男性40g、女性11gで発症のリスクが上がります。女性の乳がんは14g、男性の前立腺がんは20gです。男性は、少しでも飲酒すると胃がんや食道がんを発症しやすくなるとの報告もあります。
高齢者は若い時に比べて酔いやすく、一定の酒量を超えると認知症発症や転倒のリスクが高まります。若年者は多量に飲むと脳機能が落ちるほか、飲んで顔が赤くなるなどアルコール分解酵素の働きが弱い人は、口内や食道のがんのリスクが非常に高くなります。健康への配慮では、飲む前や最中に食事を取ったり、水を飲んだりする、1週間のうちに飲まない日を設けるといったことが有効です。
政府の健康づくり計画である健康日本21(第3次)では、生活習慣病リスクが高まるとされる純アルコール量である1日当たり男性40g以上、女性20g以上を飲む人を減らすことを目標にしています。
(2024年2月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)