健康保険組合は、会社員が毎月支払う健康保険料を原資に、医療費の支払いや健康診断などを担う法人です。2023年4月時点で、1,380ある健保組合には、主に大企業の従業員と家族らおよそ2,900万人が加入しています。中小企業向けの全国健康保険協会(協会けんぽ)、自営業者や退職者らが入る国民健康保険とともに、国民皆保険制度を支えています。
健康保険料は、原則として労使折半で納めます。医療機関の窓口で払う医療費の自己負担は3割が基本で、残りは税金と保険料で賄っています。健康保険組合連合会によると、2023年度の健康保険料率の平均は9.27%と、2022年度比0.01ポイント上昇して過去最高となる見込みです。
65歳以上の高齢者の医療費を支える拠出金が、健保組合の財政悪化を招いています。2023年度に見込む健康保険の保険料収入8兆5,000億円のうち、44%が高齢者の医療費に回り、健保組合の8割が赤字になる見通しです。負担は現役世代、給付は高齢者世代に偏る社会保障の構図の見直しが課題として重くのしかかっています。
(2023年6月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)