健康寿命とは、健康上の問題によって日常生活が制限されずに生活できる期間で、2000年にWHOが提唱しています。0歳時点の平均余命を指す平均寿命から、寝たきりや介護を必要とした期間を除くと健康寿命となります。これまでは平均寿命が広く使われてきましたが、寝たきりや要介護とならずに自立して生活できる期間を延ばすことが大切だと考えられるようになり、健康寿命が重視されるようになっています。
厚生労働省のデータによれば、2019年の平均寿命は男性が81.4歳、女性が87.5歳、健康寿命は男性が72.7歳、女性が75.4歳となっています。平均寿命と健康寿命とも右肩上がりで伸びており、世界の中でも高くなっています。平均寿命と健康寿命の差も縮まりつつありますが、政府は一段と縮めることを掲げています。健康増進法に基づき策定された健康日本21でも、健康寿命の延伸を最大の目標とすることが掲げられています。
健康寿命を延ばすためには、フレイル(虚弱)の防止が重要です。フレイルは健康な状態と要介護状態の間に位置しており、身体機能や認知機能の低下が見られる状態を指します。早期に発見して適切な取り組みを行うことで進行を防げるため、国もフレイル予防に向けた取り組みを進めています。
(2022年3月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)