筋肉は30歳頃から徐々に減り始めます。骨が丈夫でも、筋肉の減少で筋力が衰えると転倒しやすくなり、骨折や怪我につながります。高齢者の場合は寝たきりや要介護のきっかけになりかねません。筋肉が減ると糖や脂質が消費されにくくなるため、糖尿病や心疾患などを招く恐れもあります。生活習慣病などを防ぐためにも、日常的に運動することが大切です。効率よく筋肉をつけるためには、運動と栄養のアプローチを組み合わせることが不可欠です。
筋肉は、分解と合成を繰り返しています。運動によって筋肉が分解された後、新たに筋肉を合成します。体内のたんぱく質が不足していると、筋肉が十分に作ることはできません。筋肉を減らすことになってしまいます。たんぱく質の摂取推奨量は、18歳以上で1日あたり男性が60g、女性が50gです。体重1㎏あたり1gが目安です。量に加えて、摂取するタイミングも重要です。摂取が1回で40gを超えた分は、体脂肪になりやすくなります。3回の食事で、たんぱく質を20~30gずつ摂取するのが望ましいとされています。
たんぱく質を含む食品は、肉類、魚類、卵類、大豆、乳製品の5つに分類できます。たんぱく質を6g含む食品の単位を1点と換算し、毎食2つ以上の分類から3~4点以上、1日で計10点以上を摂取するのが理想です。運動前または運動後30分以内に、吸収率が高いたんぱく質を摂取することが大切です。
習慣にしたい筋肉トレーニングはスクワット、腕立て伏せ、かかと上げ、腹筋の4つです。2日に1回、まんべんなく取り組むことが大切です。運動量や食事内容を書くことで成果が見えやすくなり、運動の習慣やたんぱく質摂取への動機づけに役立ちます。健康寿命を意識するなら、筋肉量の維持は必須です。
新しい年を迎えるにあたり、健康寿命の延長を心がけましょう!
(2018年12月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)