新型コロナウイルス感染症対策で在宅勤務や外出自粛が増え、コミュニケーションが減りがちな現在、一層の健康管理が大切となります。社員の健康度や幸福度を見える化することによって高め、組織全体の活性化にも生かそうという試みが始まっています。しかし、心の健康度は把握が困難です。社員のストレスなどは、人間関係、仕事量などによって常に変化し、アンケートではとらえにくいと考えられています。
慶應義塾大学の研究チームは、日常生活で心拍や発汗量を測り、ストレスの変化などをつかもうとしています。心拍はパソコンのウェアラブルカメラがとらえる作業者の画像をもとに、簡単な方法で測ります。反射する光から血管が膨らんだりしぼんだりするのが分かり、計測することができます。心拍変動と自律神経系の働きやストレスの度合い、幸福度との間には有意な関係がみられています。将来は得られたデータをもとに、機械学習によって心拍変動から高ストレス状態を検知し異常を知らせるシステムも目指しています。自分の現状データから認識して、業務を改善するなどセルフマネジメントにも役立ちます。
(2020年4月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)